学会の概要

松沢智先生の『租税実体法』(中央経済社刊)に初めて接した時に覚えた衝撃にも似た感動は今も色あせていない。その衝撃を受けたのは何故か、と問いかける思いで租税法の研究を続けて四半世紀を優に過ぎてしまった。松沢先生の情熱の根底に何があったのか、おぼろげに見えてきた気もする。税法は誰のためにあるか、との問いかけを発し、国民のためにあることを明言された先生の勇気に感謝したい。
租税法の解釈適用の場面で、いかに法の正義を実現していくか、ここに税法学研究の目的があると確信する。裁判官として、研究者として租税法と格闘された松沢先生は租税法の体系を構築された。我々は、この体系を貫く理論を松沢理論として租税法の解釈・適用に展開することを租税正義実現の第一歩と位置付け、桜税会、租税法務学会の月例研究会で真摯に議論し、研究を深めてきた。

租税法務学会規約第2条に、「本会は『租税正義の追究』を旗標に、松澤税法学理論の研究とその発展を通して、租税法実務界に租税正義の定着を図ることを目的とする。」とあるが、理事長としてこの目的のために精進していく所存である。

租税法務学会理事長 増田 英敏